ストーリー

───うん、いいね。どっか行っちゃおうか?

とある日の授業中。 夏と秋との境目にある10月の空をぼんやりと眺めながら、 退屈な時間を過ごしていた俺──北条彰人は 「……どこかに、逃げ出したいなぁ」なんて無責任な独り言をつぶやいていた。 「──うん、いいね。どっか行っちゃおうか?」

すると不意に届いてきたのは、そんな返事。 ふと見れば、となりの席に座るクラスメイトがこっちを見て微笑んでいる。 今まで会話をしたことも無い様な彼女からのその一言で、 俺は密かに胸の中に宿していた願望を、強く自覚する。 それがキッカケだったのかはわからない。 でも確かに、その日から俺の日常は大きく変わる。

路地裏で、誰かに追われている不思議な女の子と出会い。 道端では、見知らぬ外国人から突然好意を寄せられ。 通りがかった旅の途中のお嬢様とは、勢いで友達になり。 そんな様子がおかしい俺へと、妹は必要以上に警戒しはじめて。 そして声をかけてきた、となりの席に座るクラスメイトとは ⎜逃避行ゲーム⎜なんて名前をつけた妄想ゲームで、 日々の退屈な時間を紛らわせることになる。 でも、俺の胸の中に眠る密かな願望は消えない。 いつか俺は、この退屈な日常をかなぐり捨て、 大切な誰かの手を引き、 共にどこか遠くへと逃げ出してしまうのだろうか――――。

C2013 HOBIBOX/Ex-iT